天気の良い土手沿い

造園会社の元請下請で仕事内容はどう違う?働き方に違いはあるの?

造園業は、他の業種に比べると下請の比率が高い業種です。

例えば、ホテルや複合商業施設などの工事では、
大手ゼネコンや建設会社が一括で元請になります。
道路の新設や改良では、土木会社や舗装会社が元請です。

元請は、さまざまな工種ごとに専門業者を下請けにします。
緑地帯や街路樹の植栽を担当するのが造園会社です。

民間工事では、植栽部分だけを造園会社に別発注されることもありますが、
このような「紐付き」工事はまれなことです。

造園会社の元請と下請の違いや働き方について、
公共と民間という2つの切り口から比較しながら紹介していきます。

造園会社の種類のまとめ(仕事内容、公共・民間、元請・下請)についてはこちらをクリック

造園会社は元請下請のどちらが多いのか 

ビルと公園

公園や緑地に関する工事は、造園会社が元請になることがほとんどです。
公園・緑地工事は絶対数は少ないのですが、発注された場合は、
造園会社の完工高を一気に引き上げます。

元請下請は、一般的には、以下のような流れになります。

発注者(建物・外構) → 建設会社(一括請負の元請)
建設会社(元請) → 建物(基礎・躯体・外装・内装の各専門業者が1次下請)
建設会社(元請) → 外構全般(造成・アプローチ・駐車場などを土木・舗装会社が1次下請)
土木・舗装会社(1次下請) → 緑地帯(植樹・張芝などを造園会社が2次下請)

発注者が民間の場合、取引上の「お付き合い」などで、
造園会社に直接発注することはありますが、まれなことです。

以上のことをふまえて、造園会社の元請下請について見ていきましょう。

造園会社の元請下請の比率

高架下と水路

国交省の建設工事施工統計調査報告の第2表に「業種別-元請比率」が掲載されています。

国土交通省 建設工事施工統計調査報告(令和元年度実績) 調査結果表

引用元|国土交通省 建設工事施工統計調査報告(令和元年度実績) 調査結果表

同じ総合工事業のなかでも、元請の比率は様々です。

造園業は、平成30年度も令和元年度も、元請比率は5割前後になっています。
建築関連では、8割から9割と高い比率で、土木工事業でも6割程度になっています。

建設工事では、あくまで建物が主役であり、
造園工事は全体を構成するパーツの一つであり脇役です。
ですから、下請に回ることが多いのです。

しかし、この脇役は、時には主役よりも強い印象を残す重要な役割を演じます。

公共・民間での元請の違い

公共施設の緑

公共工事で扱う施設や工作物は、公共の福祉や社会生活の利便性に直結する重要なものです。
そのため、建設業法、品確法、入契法などで厳格に規定されています。

公共工事を元請として施工する場合、これらをしっかり理解して遵守しなければなりません。

以下に、各法令について、建設工事(特に公共工事)に関連する部分をまとめました。

  • 建設業法|建設工事の担い手の育成と確保・適正な施工体制確保の徹底
  • 品確法|インフラの品質確保とその担い手の中長期的な育成と確保
  • 入契法|ダンピング対策・契約の適正な履行(公共工事の適正な施工)

上記の3つの法令のポイントは、インフラなどの品質確保と担い手の確保の実現です。
建設工事の元請は、そのための中心となる立場なのです。

公共・民間での下請の違い

和風庭園

公共工事では、下請も元請同様に、品質確保や担い手確保のための
労働条件の向上に対する責任があります。

もちろん、民間工事でも品質確保や労働条件の向上は大切なものです。
公共工事では特に意識して仕事をしなければならいということです。

建設工事の下請で、一番注意してほしいのが「一括下請負」です。
一括下請負とは、工事を受注した業者が、自らは施工に関与するすることなく、
下請に工事を「丸投げ」することをいいます。

一括下請負は、工事施工の責任が不明確になり、中間搾取や労働条件の悪化を招きます。
公共工事では全面禁止、民間工事でも一部適用外はありますが、禁止されています。

元請下請で働き方に違いはあるのか

洋風バラ園

ここまで、元請下請の違いについて見てきました。
ここからは、実際に働くうえで、元請下請ではどのような違いがあるのかを紹介します。

公共工事での元請下請の働き方の違い

風車とコスモス畑

公共工事では、竣工後、発注者が様々な観点から当該工事を評価します。
その評価は点数化されて工事成績として記録されます。

この工事成績は、公共工事の入札の主流である
「総合評価入札」で大きな意味を持っていて、入札価格にも影響します。

通常、同種工事の施工実績が豊富で、工事成績の評価が高いほど有利です。
実績が無く、工事成績の評価が低い会社ほど、入札価格を低くしないと落札できない仕組みなのです。

公共工事で元請として働く場合、常にこの「評価」を意識すべきです。
それが同時に、品質の高い施工へとつながります。

公共工事で下請けとして働く場合、直接発注者と向き合うことはほぼないですが、
だからといって緊張感のない仕事はいけません。

下請にとっては、元請の評価が高いほど次の仕事につながりやすくなるからです。

民間工事での元請下請の働き方の違い

ビオトープのような水路

民間工事では、工事における元請の裁量や権限が大幅に大きくなります。
発注者は、工事の素人である場合が多いからです。

また、民間工事の入札は価格競争が激しくなりがちで、
落札した元請の現場責任者は低価格と高品質の双方を求められるのが常です。
予算に合わせた施工方法や工期、材料や下請の選定について、
利益を生み出すために躍起にならなければなりません。

民間工事の下請けに求められるのは、臨機応変さです。

造園会社が関わる植栽は、工期の最後のほうに設定されることが多いです。
建築や外構に想定以上の予算が必要になり、そのしわ寄せで、
植栽の規模が大幅に縮小されることはよくあります。

さらには、植栽の施工自体が消えてしまうこともあるほどです。
公共工事ではあり得ないようなことが起こるのが民間工事だと肝に銘じておくべきでしょう。

公共・民間共通の働き方について

安全第一のフェンス沿い

あらゆる工事関係者が、毎日何度も見聞きするのが「安全第一」です。
安全であることが、すべての工事のベースになります。

建設業全体での安全対策の歴史は古いのですが、
それでも、製造業や運送業に比べると労働災害は倍以上になっています。

墜落・転落、交通事故、はさまれ巻き込まれ、激突され、が事故の多い順です。

事故は、本人はもとより、家族にも大きな影響があります。
事故の多い会社の評価は下がるばかりです。

公共・民間共通での働き方で一番重要なのが「安全第一」なのです。
自分や家族の生活を守り、会社の継続を守るためにも
安全対策に過ぎるということはありません。

まとめ

原っぱと通路

この記事では、造園会社を元請下請別という視点から説明しました。
また、公共と民間では、同じ造園工事でも大きな違いがあることも合わせて見てきました。

建設業法を始めとする法令は、ときに窮屈なイメージを持たれることがありますが、
働く人の生活や平等性を守るために貢献してきたことは確かです。

公共工事で始まった施策が、時間をかけて民間工事にも浸透していくという流れもあります。

冒頭で示した表にあるように、造園工事での元請と下請の比率は拮抗しています。
どちらの工事でも対応できる態勢や心構えを忘れないことが、
造園外会社で働くあなたの評価を高めることは間違いありません。

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