道路のようなものが直立している写真

河川・海岸・ダム工事は生活を支え自然災害から守ってくれる土木工事

土木工事のほとんどは、私たちの生活の基盤に関わるものです。

その中でも、河川工事と海岸工事は自然災害の発生を予防し、被害を最小限にくい止めるために絶対に必要な土木工事です。

ダム工事は、安全な飲料水や産業用水を供給し、河川の流水量を調節しながら発電にも関わる、最重要な土木工事の一つであるといえます。

まさに、私たちの生命に関わるのが、河川・海岸・ダム工事なのです。

この記事では、河川・海岸・ダム工事の概要について紹介します。

河川工事は洪水・氾濫を未然に防ぐ治水対策 

河川土手下の工事中の写真

河川や河川流域を含む、洪水や氾濫を防ぐための事業を治水対策といいます。

わが国は、国土のおよそ3分の2が山や森林であり、河川も多く水資源が豊富です。しかし、ひとたび豪雨や暴風雨に見舞われれば、河川の洪水や氾濫が起こりやすい自然環境であるといえます。

このため、治水対策は、直接私たちの生命に関わる重要な事業なのです。この治水対策で中心的な役割を果たすのが、河川工事です。

河川工事の目的

河川工事は、洪水が発生した際に、洪水を安全に流下させることを目的として施工されます。

目標とする流量を設定し、その流量を安全に流下させるために、護岸を改修したり川床を掘削したりするのです。

同時に、自然環境の保全や復元、河川利用環境の整備も考慮する必要があります。

河川工事の種類

河川工事には様々ありますが、ここでは代表的な5つを紹介します。

護岸工事

護岸とは、河岸や堤防を、流水に伴う浸食や洗堀から保護するために施工される工事です。

護岸の構造は、基礎工と法覆工で構成されます。状況に応じて、根固め工、天端工、天端保護工、小口止め・すり付け工などが付加されます。

河岸や堤防を保護することは、河川の洪水や氾濫を抑止することに直結します。

被門工事

堤防によって洪水や氾濫から守られている住宅地や農地のある側を堤内地、堤防に挟まれて水が流れている側を堤外地といいます。

樋門は、堤内地の雨水や水田の水が水路を流れて河川に合流する位置に設置され、洪水で水位が高くなった堤外地の水が逆戻りするのを防ぐゲートです。

樋門工事は、河川流水のオーバーフローを調整するための重要な工事になります。

地すべり防止工事

流水による河岸の崩壊を防ぐのが、地すべり防止工事です。地すべり防止工事には、抑制工と抑止工があります。

抑制工とは、河岸地の地形などの自然条件を変化させて地すべりの滑動力と抵抗力のバランスを改善し、地すべり運動を停止・緩和する工事です。

抑止工は、杭やアンカーなどの構造物の抵抗力を利用して、地すべり運動を抑止する工事です。

床止め(床固め)工事

河川の流水は、長い年月をかけて、川床(川底)の土砂を洗堀(洗い流す)していきます。

床止め(床固め)は、この洗堀を防いで、上流から下流に向かっての勾配を安定させるために河川を横断して設けられる施設です。

河床の勾配を安定させることによって、洪水や氾濫の影響を軽減するのを目的として施工されます。

砂防工事

砂防工事とは、河川の洪水や氾濫などによる土砂災害から、地域を守るために施工される工事です。同時に、自然環境に配慮して、地域の生態系を壊さないことが重要となります。

砂防工事の種類をまとめました。

山腹工荒廃斜面を改修し安定させることにより崩壊の発生や拡大を防ぐ
砂防堰堤工コンクリート製や鋼製の堰堤を設けることにより土石流をくい止める
護岸工・床止め工護岸工や床止め工を組み合わせて河川の浸食を防止する

海岸工事は津波・高潮・波浪から生活を守る

海とショベルカー

わが国の海岸線の延長は、3万5,000kmあり、そのうち保全すべき海岸の延長は1万5,200kmとされています。

保全すべき海岸延長のうち、農林水産省が34%、国土交通省が65%所管しています。

東日本大震災以来、国は大きな予算を組んで、海岸工事による海岸線の保全に取り組んできました。

海岸工事の目的

海岸工事には、主に2つの目的があります。

津波・高潮・波浪などの海水による災害を防ぐ
波浪による海岸の浸食を防除する

海岸工事は、以上の目的のために、高潮・浸食対策のための海岸保全施設の新設や改良、海岸の耐震・老朽化対策をしている工事です。

海岸工事の種類

海岸工事の主な種類と工事の概要について紹介します。

堤防・護岸工事

堤防および護岸工事では、海岸線に場所打ちコンクリートやコンクリートブロック積みなどの構造物を設置します。どちらも、津波・高潮・波浪を防護し、陸部分の浸食を防止する工事になります。

堤防は海岸とは独立した構造物で陸部分を守り、護岸は海岸の浸食を防ぐための補強工事と捉えると分かりやすいです。

突堤・消波堤工事

突堤工事とは、海岸線の汀線(波打ち際)と直角方向に、一定間隔でブロックなどの構造物を設置する工事です。砂浜の浸食をくい止める働きをします。

消波堤工事は、汀線にブロックなどの構造物を設置する工事です。波のエネルギーを弱めて、砂浜の後退を防ぐための工事です。

人工リーフ工事

人工リーフ工事は、人工的に浅瀬をつくる工事です。汀線から離れた沖側に、汀線にほぼ平行に構造物を設置し、消波や防波を目的として施工される工事です。

人工リーフの構造は、マウンド状に積み上げた自然石や砕石と、表面の吸い出し防止材で構成されます。景観に配慮して、堤体が水面下にあるため、潜堤とも呼ばれます。

浚渫工事

海岸の浚渫工事とは、航路や泊地の水深を確保するため、浚渫船を使って海底の土砂をすくい取る工事です。浚渫工事には、ポンプ浚渫とグラブ浚渫があります。

ポンプ浚渫は、土砂と海水を一緒に吸い上げて海底を掘り下げる工事です。吸い上げた土砂は、排砂管で土砂の捨て場まで運び出されます。

グラブ浚渫は、グラブバケットを装備したグラブ浚渫船によって、海底の土砂だけつかみ取って海底を掘り下げる工事です。土砂は土運船によって運び出されます。

養浜工事

養浜工事は、浸食された海岸に砂や土砂を供給し、砂浜の消波能力を向上させる工事です。

養浜の材料となる砂や砂利は、学識者や漁業関係者などと協議のうえ、ダムやトンネルの公共工事発生土を活用することが多くなっています。

また、浚渫工事によって排出された土砂も利用されています。

ダム工事は生活の基盤であるダムを建設する

ダム工事中の写真

河川法(第44条)では、ダムを「河川を横断して流水を貯留するために設置された構造物で、高さ15m以上のもの」と定義しています。ただ、一般的には、砂防ダムなど15m未満の堰堤もダムと呼ばれることがあるようです。

ここでは、本来の定義にかなうダムについて紹介します。

ダム工事の目的

ダムは、洪水調節、水資源の確保、発電、河川環境の保全のために設置されます。また、観光資源として活用されることも多いです。

ダム本体工事の流れをまとめました。

  1. 工事用道路整備
  2. 転流工|仮排水路を設け河川流水を転流する
  3. 本体工事|基礎掘削→堤体打設(コンクリート)→完成
  4. 管理設備設置|ダムを管理運営するための設備の設置
  5. 試験湛水|ダムに放流し安全性を試験する
  6. 完成

ダム工事は、調査・設計から本体工事の完成までに、10~20年を要す工事です。

ダムの種類

ここでは、代表的なダムを3つ紹介します。

重力式コンクリートダム

重力式コンクリートダムは、貯水池からの水圧をダムの重量で支えるダムです。重い堤体を支える十分な支持力のある基礎岩盤上に設置する必要があります。

コンクリートダムとしては一般的で、日本で最も多くつくられているダムです。

ロックフィルダム

ロックフィルダムは、岩石や石を主な材料としてつくられるダムです。遮水方法で2種類に分けられます。

中央遮水型ダム中央部にコアと呼ばれる粘土質材料を盛り立て遮水する
表面遮水型ダム上流側表面をアスファルトやコンクリートで遮水する

基礎地盤の地質が比較的悪いところでも構築可能のダムです。

アーチ式コンクリートダム

アーチ式コンクリートダムは、堤体が薄く、アーチ状の形をしています。アーチ形状の持つ力学的特性によって、水圧を両岸の岩盤に伝えて支える構造です。

重力式コンクリートダムと比べ堤体が薄いので経済的ですが、ダムの両岸の岩盤に伝わる力が大きくなるため、両岸に強固な岩盤が必要です。

河川・海岸・ダム工事 まとめ

緑のショベルカー

河川と海岸は、私たちの生活を潤す重要な資源の宝庫であると同時に、ときに自然の猛威をふるい脅威となります。その脅威を最小限にとどめる工夫をするのが土木工事です。

ダムもまた、私たちの生命に関わる水資源やエネルギーの供給元ですから、滞ることなく供給されるよう土木工事が活用されます。

このように、自然と人をつなぐ土木工事は、やりがいと誇りをもって取り組むことができる仕事であるといえます。

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